YANAGISAWA 7 Ebonite Tenor

おそらくは随分と昔に手にした事があったやも知れないけれど、それにしても随分な時間が経っているのは間違いない。 しばらく前に本田雅人氏の“例のフュージョン本”を買った際に機材紹介記事で紹介されていたが、なんでもしばらくテナーの仕事はこれでこなしていた云々と書かれており、いやそりゃなんでも大概やで、と眉に唾付けて読んでいた。 一連の“楽に吹くキャンペーン”の中で、これまでよりは狭いオープニングのハードラバーを物色する中で偶然射程距離に入ってきた為に、これも出会い、と若干無理をした。 “7”とは言いつつ、開きはOttolink ToneMasterの“6”相当で、これで全てを賄うなんてのはそりゃ本田さん位な手練だけちゃうん?と予測していたが、かのマイケル・ブレッカーも『Heavy Metal Be Bop』の頃はSTM の6だった、とも伝え聞くし、かのジョン・コルトレーンにしてもいわゆる“5”近辺の狭いオープニングを使っていた(時期も)とも聞く。 あのクリス・ポッターも7☆だし、マーク・ターナーも同様ではなかったか。 発音自体にあまりリソースを使ってしまっては、あのような技巧派は成り立たないのかも知れない。 こんなに長い間楽器に触れていながら、いつの間にか“広さこそ正義”的な素人いちびり方面に傾いていたのかも、と反省仕切。 (まあ一時期リードの個体差に左右され難い状況が欲しかったので、2-1/2近辺で吹けるセッティングを模索した結果、いわゆる8前後に落ち着い…

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【仕掛人・藤枝梅安】

池波作品は文体や描写がとても映像的なのに実際の映像化が本当に難しいのだろうと思う。 映像的であるが故に個々の読み手ごとのイメージや重点が微妙に異なるし、それぞれの思い入れも相まって、一つの映像コンテンツとしての“固定化”が難しいと思う。 殊に短編はそうだ。 映像化の際に想定した長さに対して (肉付け) が必要となる時に制作者が 「はて、どう出るか…」 と思う事が多い。 そこには脚色もマッシュアップも別解釈も持ち込まれる訳で、だから結果として出来上がったものはどこかしらなにかしらの (ささくれのような…) 違和感を感じたり、賛否が様々に分かれて当然と思う。TV史に残るあの吉右衛門版『鬼平』ですらそうだ。 勿論今回公開の劇場版にもそれは言えて、原作をかなり大胆に改変したが故のほころびは見えてはいるのだが、ストーリーは原作の根本にある (悲劇性) には辿り着いていると思う。 『梅安』については作品数に比較して映像化の頻度が突出して高い。 嚆矢となったのは勿論朝日放送・松竹『必殺仕掛人』(緒形拳)、その後 ・松竹本社による劇場版『仕掛人』3本(田宮二郎・緒形拳)があり、 ・東映による萬屋錦之介を擁した『仕掛人梅安』、 ・フジテレビ「時代劇スペシャル」枠での「仕掛人・藤枝梅安」(小林桂樹) これは好評を得たのかシリーズ化している ・しばらく空いて後、フジテレビ制作で「仕掛人・藤枝梅安」(渡辺謙) …

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D'addario Select Jazz D5M & D7M その後(後編

で、テナーのD7M。 --------------------------------------------- 割にオールドスタイルなジャズの現場からしばらく続けて使ってみているが、基本アルトのD5M同様の印象。 ヴァーサタイルと云おうかオールパーパスと云おうか。 リンクフォロワーにありがちな極端な特徴付けやいかにもな味付けがされていない印象ながら、"みんなのおもうダークで太いテナーサウンド"を体現しているようで、その実ちゃっかりしっかり今風な要素も垣間見える。 やれフロリダだバビットだ4リングだなどと喧しいのを横目に見てる感じがして、軽やかな心持ちになれる。 ただこちらは(個体差なのか)若干音が散り気味な性格で、よりタイトな味わいを好む場合には息量を増やすことに加え例の“マーブル”仕様が良さそうだ。 マーブルならば材質の硬さが良い方に作用してくれる気がしているけれども、限定品らしいので早めに入手したい。 オープニングも“リンク換算”でD7Mが7☆、D6Mでも7に当たるから、これから導入を検討されておられる向きにはまずはD6Mをお薦めしよう。 決してD7Mがどうこう云う訳ではないのだが、(ここだけは当初の印象通りで)D6MにRICO #3、或いはD8MでRICO #2.5が概ね標準になろうかと思う。 フェイシングの関係でSelectJazzも良いだろう。 リードのハートの位置関係もあって2MのFiledにしてみたが、きちんとこなれ…

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