これまでは"アルト""テナー"と云った、サックスの種類の中での"浮気"について話して来たけれども、今日はサックスの"ブランド"について考えるのこころだぁ。で、前・後編。
例えばギター、ベースの世界やシンセの世界では良くあるのだが、「ストロークなら○○」「リード取るなら○○」「"白玉"なら○○」「ブルーズっぽいニュアンスなら○○」「ジャジーな感じなら○○」云々。
この"○○"の部分には様々なブランド名や機種名が入る。
楽器本体に限った事では無く、アンプやエフェクターの類にも同じ事がある。
サックスの場合でも「クラシックっぽいなら○○」「ジャジーな感じなら○○」などと云う類の話はなんぼでもある。
個人的にはどれがどうでも全く構わない。
別にCrampomでジャズやろうが、Cadesonでクラシックやろうが、それは奏者の表現の発露であって、他人がとやかく云う問題では無い。
例えばSelmerの場合、稀代の名器"Mark VI"登場以降爆発的に普及し、製造工程も機械化が進み量産されるようになったので、結果ジャンル・スタイル問わず用いられる事となった。
故に「サックスの音=Selmerの音」の様な図式も出来上がり、「Selmerにあらずんばサックスにあらず」的な発言はウチの師匠を含め後を絶たない。
(うちの師匠は"とにかくSelmer"な方だったので、Cannonballを買った時には「カッコいいじゃん」の一言で済まされてしまったが、後日彼がRavenを試奏した際にはそのレスポンスと音程の良さに舌を巻いたそうだ。こちらとしては、してやったり、な事件だった)
しかし、驕れる平家も久しからず(w:でも今のSelmerの状況はそんな感じらしい)な訳だし、その論理も実に一面的なので、結局の処自分の感性を信じた方がなんぼかましだ。
個人的には、きちんと作ってある楽器であれば"フレキシビリティ"はある程度持っているものだと思うから、何をどう使おうが勝手である、と思う。
フレキシビリティのある楽器、と云うのは、奏者の意図する処へきちんと届く、と云う意味だ。
基本的に表現力に溢れ、様々なスタイルにも対応出来るポテンシャルを持った楽器であれば、ある特定の方向性を持った奏者であっても、様々なスタイルで演奏する奏者であっても、どちらにも対応出来る訳だ。
その意味で考えれば、トータルバランス的にSelmerはやはり優れていると思う。勿論YAMAHAもYANAGISAWAも良い。
そんな中「クラシックやるなら○○でなければ」「ジャズやるなら○○でなければウソ」とまで云う話はちゃんちゃら可笑しいのである。
特にジャズならヴィンテージのSBA、MarkVIじゃなきゃ、とか、クラシックならSA80 II云々なんてのはお節介も甚だしい。
まぁ確かに「向き」「不向き」はある、とは思う。
音色と音楽は両輪のようなものだから、どちらも重要な事は間違いないからだし、音楽性や曲調、演奏の傾向等と、楽器のスペックは密接な関係がある。
もし現代風の超高速プレイを目指すのに、例えばかなり古いConnやBuscherはメカニカル的に厳しい部分もあろう。
かっちりと決まったピッチも、パリっと張りのある瑞々しい音色も併せての話だ。
もしブリリアントでジェントルな音色を求めれば、いわゆるヴィンテージものや昨今流行のアンラッカーものではどう頑張っても限界があるし、非常に雑味の多い音色を求めて、それが最高かつ最良なのだ、と拘る向きには、最新の機種をあたればそれは落胆と妥協しか手に入れる事は出来ないのかも知れない。
又、非常に木管的な音色を求めれば、テーパーの広め、デカベル方面のものは金管的なニュアンスを感じてダメだろうし、逆にゴリゴリバリバリな方面では、テーパーの狭い、管の細いものではコントロールはし易いがジェントル過ぎて厳しいだろうなぁとは思う。
これまでついぞ本格クラシックサックスには縁が無かったが、良く巷間話題に上るのがBuffet Crampomで、話の中ではクラシックやるならこれ、的なものらしい。
云ってみればジャズにおけるアメセルみたいなものか。
楽器そのものが持つ「方向性」、これも重要ではある、と思う。
が、所詮人間が自らの感性に基づいて使うものなのだし、「ねばならない」的な部分が多すぎると"縛り"がキツくなって、どうにも居心地が悪くなる。
自分の音くらい自分で探す、位の方が心持ち楽なのである(余りに凝り過ぎるとそれはそれで良くない。自分が思う程他人は気にしてないものだ)。
勿論人それぞれの感じ方や理論があって良い話だし、「そんな事云ったって、俺にはこれしか無いし!」的な、奏者それぞれの事情もあるだろう。
皆どうにかして自分の欲しい音を探している、と云う状況は変わらない。理想と状況にギャップが生じているとすれば、正にその為に様々な楽器、リード、マウスピース、リガチュアがある訳だ。
一番肝心な事は、様々な部分を鑑みて"その奏者の使用に耐えうるか"な訳だ。
この辺がサックス選びを難しくするポイントなのだけれど、こればっかりは仕方が無い。
感性をオープンにして、耳を柔らかくして、その時々の財布の事情と相談し、その時々の感性で最良のものを選べば良い、と云う話だ。
サックスが欲しい、このルックスのサックスが吹きたい、この音が欲しい、そう思うのはその時その時の感性だ。
音楽は感性を写すものなのだから、諸々の条件を鑑みた後、感性に抗う事無く、その時のひらめきで入手するのが肝要と思う。
感性は変わって行く。テクニックも変わって行く。
自分とマッチングが取れなくなったら、マウスピース、リード、リガチュアなど、根本的に変わってしまったら楽器、もっと変化を遂げたならばサックスを置く。
変わる事を恐れていては、音楽は出来ないと思うが如何?
変化は前提なのだ。
そうなれば勿論金は掛かる。そうそうポンポン買い換えられるものでもない。
だから様々な状況に対応出来る、フレキシビリティのある、根本的に出来の良い楽器を手にすれば、結果的に長く使える事になる。
だから皆薦めるブランドは似てくるのだ。出来ればCannonballもそこに追加して欲しいがwww
だからサックス買うのは諸々が目まぐるしく変わるコンピュータ買うよりもっと簡単だ。
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- ♪この道は いつか来た道(6月度
- Excerpt: 昨日締切に間に合わせようと数百回の"Ctrl+C""Ctrl+V""Ctrl+S"を繰り返した挙句、途端に休みになってしまったので、ムシャクシャして更新してしまおうと(意味不明)。
- Weblog: HIGH BLOW
- Tracked: 2006-06-07 11:40
この記事へのコメント
でへ
際限が無いですが、そんなことを考えながら楽器屋に行くと
欲しかったあの楽器がたまたまあったりして、
悪魔の誘惑と戦うことになります。
そろそろ、なんでも使える1本がほしい今日この頃です。
D-O
いらっしゃいませ。
そんな時こそCannonballですよ(wwww
実際かなり見た目で誤解されてますが、良い楽器だと思いますよ。本当。
もしくはYANAGISAWA(ww
あ、Prima Yanagisawaで宜しくお願いします(w